哲劇メモ

吉川浩満(@哲学の劇場)の日々の泡

可塑性と柔軟性

わたしたちの脳をどうするか―ニューロサイエンスとグローバル資本主義

わたしたちの脳をどうするか―ニューロサイエンスとグローバル資本主義

カトリーヌ・マラブー(Catherine Malabou/1959- )氏は、現在パリ第10大学(ナンテール)助教授。ジャック・デリダのお弟子さんで、編者となったデリダ論集『デリダ――肯定の思考』(未來社、2001)のほか、デリダの指導のもとに書かれたヘーゲルにかんする博士論文『ヘーゲルの未来――可塑性・時間性・弁証法』(未來社、2005)の邦訳も刊行予定。

【版元情報】
http://www.shunjusha.co.jp/book/32/32223.html
脳は科学的、哲学的、そして政治的存在である。脳科学のキーワード「可塑性」の真の可能性を精査し、それを骨抜きにする「柔軟性」概念との差異を明確にするとともに、ニューロサイエンスの言説と「新しい資本主義の精神」とのひそかな共犯関係を抽出する、フランス現代思想によるアクチュアルな脳科学批判。

担当編集者より・・・・私達が生きている社会は「ネットワーク社会」と言われます。この言葉は、脳の様々な機能を調べるニューロサイエンスから来ています。脳科学の進展によって、脳をめぐる諸問題は、「脳と心」という昔ながらの問いを踏み越え、「脳と社会」という広がりを持つに至っています。脳と心をめぐって交わされる様々な議論が、現在のグローバリゼーションの中で持つ意味を明確に提示する本書は、現代思想による待望の脳科学論です。

なお、雑誌『現代思想』最新刊(特集=イメージ発生の科学)にも、マラブー氏の論文が掲載されている。こちらから読んでみてもいいかもしれない。

◇春秋社
http://www.shunjusha.co.jp/

◇未來社
http://www.miraisha.co.jp/

青土社
http://www.seidosha.co.jp/

デリダと肯定の思考 (ポイエーシス叢書)

デリダと肯定の思考 (ポイエーシス叢書)