哲劇メモ

吉川浩満(@哲学の劇場)の日々の泡

Q「インターネットとの出会いを教えてください。」

  ※ザ・インタビューズより転載。

1990年の4月、大学生になったときに学校(慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス)のワークステーションを介して出会いました。当時、ウェブはまだこの世に存在しておらず、ニュースグループや電子メールがおもな用途でした。レポート作成にはLaTeXを使っていました。

WWWを普通に利用できるようになったのは卒業間近の1993年あたりだったでしょうか。現在のWWWブラウザの原型といえるNCSA Mosaicが登場したのもそのころで、強烈なインパクトを受けました。

当時の日本において、アホな学生が日常的にインターネットを利用できるほぼ唯一の恵まれた環境であったかと思いますが、なにかIT的なノウハウを身につけることができたと自信をもって言えるのは、わたしの場合、ブラインドタッチ(タッチタイピング)と、ネットを使った完全犯罪は案外むずかしいという認識くらいでしょうか……もったいないことです(1990年だったか91年だったか、他人がログインしたワークステーションを使って、ある輩が特定の人物を誹謗中傷した文書を流布するという事件がありました。なにも理解していなかったわたしなどは犯人を割り出すなんて無理なんじゃないかと思っていたのですが、ログと監視カメラの照合によって不届者はあっけなく御用となりました。印象に残る出来事でした)。