哲劇メモ

吉川浩満(@哲学の劇場)の日々の泡

白のキングに紙の冠

チェスをやるとき或る人が白のキングに紙の冠りをかぶせる。それでその駒の動きに変りはないのだが、私に言うには、その冠りはそのゲームで規則に表現できない或る意味を彼にもっているのだ、と。私は答える、「それで駒の動きが変るのでない限り、私はそれを意味とは呼ばない」
――L・ウィトゲンシュタイン青色本大森荘蔵訳、ウィトゲンシュタイン全集6、大修館書店、p.118

そして今日もひとり白のキングに紙の冠をかぶせて「私はそれを意味とは呼ばない」と呟いてみたりする。駒は微動だにしない。いいから駒を動かせっつーの。>自分