書評連載第7回☆『KOKKO』
雑誌『KOKKO』での連載書評、第7回目は道徳心理学・道徳哲学の名著を紹介します。
- 吉川浩満「書評 第7回|ジョシュア・グリーン『モラル・トライブズ──共存の道徳哲学へ』(上・下)」、日本国家公務員労働組合連合会『KOKKO』第11号、堀之内出版、2016/7
これまでの歩み。
- カフカ『ポケットマスターピース01 カフカ』
- アンソニー・B・アトキンソン『21世紀の不平等』
- スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ『チェルノブイリの祈り──未来の物語』
- 浅野智彦『「若者」とは誰か――アイデンティティの30年 増補新版』
- ジョセフ・ヒース『啓蒙思想2.0――政治・経済・生活を正気に戻すために』
- マレー・シャナハン『シンギュラリティ――人工知能から超知能へ』
- 作者: ジョシュア・D.グリーン,竹田円
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2015/08/28
- メディア: 単行本
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- 作者: ジョシュア・D.グリーン,竹田円
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2015/08/28
- メディア: 単行本
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- 作者: 日本国家公務員労働組合連合会
- 出版社/メーカー: 堀之内出版
- 発売日: 2016/07/05
- メディア: 単行本
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大澤真幸さん連続講義☆青山ブックセンター
今月も青山ブックセンターでイベントがあります。
大澤真幸さんをお招きし、「心脳問題から自由意志、脳の社会性へ、人工知能の可能性とは何を意味するか」についてレクチャーをしていただきます。全3回、存分に語っていただく予定。
- 大澤真幸+山本貴光+吉川浩満「連続講義 心脳問題から自由意志、脳の社会性へ、人工知能の可能性とは何を意味するか」(全3回)――『脳がわかれば心がわかるか──脳科学リテラシー養成講座』(太田出版)刊行記念
http://www.aoyamabc.jp/event/brain-mind-lecture/
【第1回】
心脳問題を、思弁的実在論の問いと結びつけて考えることで、以前大澤が論じた「脳の社会性」をさらに追究する。哲学的な議論になるが、できれば、哲学に興味のある人にとってだけではなく、脳科学や人工知能の研究者にとっても意味ある問題提起をしたい。
日時:2016年7月10日(日)
14:00~16:00(開場 13:30)
料金:1,350円(税込)【第2回】
脳と自己意識や自我という問題について考えてみたい。一部で論じられている「神経倫理学」にも触れながら、それがどこまでほんとうの倫理学の問題への答えになっているかも考察してみたい。
日時:2016年8月10日(水)
19:00~21:00(開場 18:30)
料金:1,350円(税込)【第3回】
いわゆる「シンギュラリティ」の問題を視野に入れ、社会学的・政治学的な問題を考える。脳科学や人工知能の展開の社会的意味を捉えるもの。山本・吉川『脳がわかれば心がわかるか』第4章の主題を引き継ぎ、鈴木健氏の「なめらかな社会」にも触れる予定。
日時:2016年9月18日(日)
14:00~16:00(開場 13:30)
料金:1,350円(税込)それぞれ独立でも聴いていただけるし、3回を関係づければ理解がより深まる、となるようつとめたい。(大澤真幸 / 文責太田出版編集部)
内容的にもコスパ的にも破格の連続講義になることは間違いありません。ぜひお越しください。
心脳問題から自由意志、脳の社会性へ、人工知能の可能性とは何を意味するか大澤真幸+山本貴光+吉川浩満 連続講義(全3回)
- 作者: 大澤真幸
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/05/13
- メディア: 単行本
- 購入: 5人 クリック: 90回
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- 作者: 大澤真幸
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2010/10/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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脳がわかれば心がわかるか──脳科学リテラシー養成講座 (homo Viator)
- 作者: 山本貴光,吉川浩満
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2016/06/07
- メディア: 単行本
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生き延びるための人文2☆考える人
雑誌『考える人』に連載中の対談シリーズ第2回目(全3回)。今号の特集は谷川俊太郎に夏目漱石と、なかなかお買い得かと思います。
- 山本貴光×吉川浩満「生き延びるための人文2――人文の「理想」と「現実」」、『考える人』新潮社、2016年夏号
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2016/07/04
- メディア: 雑誌
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それにしても、このポーズはなんだろう。撮影時のことはなにも覚えていない。私がわるいのだろうか。
写真を見てデッドプールを思い出した。
『脳がわかれば』刊行記念トークイベント☆青山ブックセンター
6月17日(金)の夜、山本貴光くんとトークイベントに出演します。
- 山本貴光+吉川浩満「『脳がわかれば心がわかるか』(太田出版)刊行記念――「脳と心、科学と哲学」の関わりをめぐる、超入門から最先端の問いまで。山本貴光+吉川浩満 トークイベント」
日時:2016年6月17日(金)19:00~20:30
会場:青山ブックセンター本店内小教室
料金:1,350円(税込)
定員:50名様
イベント詳細、ご予約は下記リンクより。ふるってご参加ください!
http://www.aoyamabc.jp/event/brain-mind/
「脳と心、科学と哲学」の関わりをめぐる、超入門から最先端の問いまで。 山本貴光+吉川浩満 トークイベント
【イベント告知文より】
しばらく前から、脳科学の成果が広く紹介されるようになり、脳の働きに感嘆することが多くなりました。1,000億ともいわれるニューロン(神経細胞)の集まりである脳が、私たちの心理や行動──知覚、判断、感情、意志、欲望、行動、等々──とどのように関わっているか、だんだんわかってきたからです。
そして、感嘆するだけでなく、自分の一部である脳に自分自身が支配されていると感じられ、不安にかられることもあるのではないでしょうか。「無意識」が広く深く私たちの生を左右しているし、「意識」すらも「私」の思うままにならず、ぴったり重ならないようであるからです。
そんなときときです。こんな言葉に出会うのは。
1 脳の働きが○○なの「だから」、あなたの行動や感情や思考は××になる
2 あなたの××という行動や感情や思考は、「じつは」脳の○○という働きにすぎないこうした言葉がもつマジックのような誘いに、ついうかうかとついて行きそうになります。でも、ここで立ち止まって考えてみなければなりません。
それが『脳がわかれば心がわかるか──脳科学リテラシー養成講座』のテーマです。「脳と心、科学と哲学」の関わりをじっくり考える著作。旧版『心脳問題──「脳の世紀」を生き抜く』から12年を経た増補改訂版です。
今回は、著者のお二人に、脳科学と心脳問題(哲学)の関わりをときほぐし、脳科学の魅力や魔術と冷静につきあうための処方箋を語っていただきます。哲学や脳科学の専門知識は不要、超入門から最先端のテーマ(人工知能、シンギュラリティ等々)までをカバーします。
脳がわかれば心がわかるか──脳科学リテラシー養成講座 (homo Viator)
- 作者: 山本貴光,吉川浩満
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私が生きづらいのは進化論のせいだと思うんですけど、と山本さんは言った。(再)
昨年12月の『αシノドス』に掲載された文章がシノドスのサイトに転載されました。どなたでもご覧になれます。
- 生きづらいのは進化論のせいですか?――『理不尽な進化 遺伝子と運のあいだ』著者、吉川浩満氏インタビュー
シノドスのインタビュー名人、山本菜々子さんによる記事です。ちょっとだけ引用。
ある自然科学の専門家が、本書を読んで「凡人の考えを撃って何がおもしろいのか」という趣旨のコメントをしているのを見かけたことがあります。
言いたいことはよくわかります。 (中略)もし進化論という学問を発展させたいならば、凡人にかかずらうことなく、非凡な研究者や研究成果と付き合い、新しい知見を生みだす努力をしなければなりません。もちろん私も一人の進化論ファンとして研究の進展を願っています。でも、それは私の仕事ではありません。専門家の仕事です。
では、何がしたかったのか。それは、進化論を語るときに凡人たる私たち一般人は実際のところ何をしていることになるのか、これを理解することでした。この社会に流通している進化論のイメージが、科学の世界で運用されている進化論と違うことは、ちょっと調べればすぐにわかります。でも、どうしてこのような乖離が生じるのか、それによって私たちにはどんな利得や損失があるのか、これを考えてくれる人はめったにいません。
どれだけ成功したかは心許ないにせよ、本書で私はこのことについて考え、とりあえずの仮説を提示しました。先に述べたように、私たちは進化論を言葉のお守りのように使用しているのではないかということ、そしてそれは自然淘汰説がもつ独特の性質によって導かれるものではないかということ、これがその仮説です。結果として「凡人の考えを撃って」いるように見えることもあるかもしれませんが、私の関心は批判や教化を行うことではなく、あくまで理解することにあります。
ふだん私たちは何を考えているのか、何をしていることになるのか。これが関心であり、これはこれでひょっとしたら、私たち現代人のセルフ・ポートレイトあるいは現代社会の習俗を伝える社会人類学的資料として、非凡な成果につながるかもしれない仕事だと思っています。