哲劇メモ

吉川浩満(@哲学の劇場)の日々の泡

寄藤文平さん(ケトル)

なんと、アートディレクター/グラフィックデザイナー/イラストレーターの寄藤文平さんが、『理不尽な進化』の書評を書いてくださいました。


10年ほど前から、年の初めに自分の年譜をつけることにしている。(…)「理不尽な進化」を読みながら、その内容に、自分の年譜づくりがダブった。(…)


はて、なんの話をしようとしたのだったか。実のところ、本は読了したのだけれど、何が書いてあったのか、よくわからないのである。丁寧に編まれた、進化と進化論についての考察だったことは覚えているのだけれど、本を閉じると同時に、ほどけて消えてしまった。


ただ、「進化論」が身の回りのあらゆるところに接続して、「進化論」の外側に思考が開かれていく「感じ」は残っている。自分の思考回路がこんなにも「進化論」の影響を受けているとは思わなかった。数ページ読んでは本を閉じ、いろいろなことを想像したり、考えたりするという、そういう読書を久しぶりに楽しんだ。

ご自身の経験と拙著の内容とを接続した、たいへんに味わい深い随筆作品です。書店で掲載誌を購入してこの記事を書くまでの短い間に3回も読みなおしてしまいました(私もこんな文章を書けるようになりたいものです)。ありがとうございました。

寄藤文平氏については、お名前をご存じでない方も、そのイラストをご覧になれば、ひと目で「それな!」とピンとくると思います。街を歩けば文平に出会うというくらいですし、私の書棚にも氏のイラストやブックデザインの施された本が何冊もあります。 → Google画像検索結果:寄藤文平

しかも掲載はあのお洒落なカルチャー誌『ケトル』(太田出版)。これまでの掲載紙誌がそうでなかったとは口が裂けても申しませんが、しかし、これを機に私には無縁であったシャレオツな出会いが訪れそうな予感がして心が躍ります。

なお、同号の特集は「辞書と図鑑が大好き!」。高橋源一郎エッセイ、みうらじゅんインタビュー、辞書・図鑑ヒストリー等々、盛りだくさんの完全保存版となっております。ぜひご覧ください。本日発売。

ケトルVOL.23

ケトルVOL.23

理不尽な進化: 遺伝子と運のあいだ

理不尽な進化: 遺伝子と運のあいだ