哲劇メモ

吉川浩満(@哲学の劇場)の日々の泡

hello, world

ワゴンセール

ブックファースト渋谷文花通り店editechさんのブログ記事より、拙著『問題がモンダイなのだ』のワゴンセール(@ブックファースト渋谷文花通り店)情報を(1か月遅れで)キャッチ。いまはどうなってるんだろうと思い、渋谷まで出かけてみた。

さすがにワゴンセールは終了していたが、しかしなおレジ前の新刊書・話題書ズラリの好位置に二面出しで置かれている。

そういえばいつ出たんだっけ。その場で奥付を確認してみた。2006年の暮れ。2年も前に刊行された地味な新書一冊をこんな風に紹介してくれるなんて、たいへんにありがたいことだ。企画してくれた店員さんは不在だったが、レジの店員さんにお礼を述べた次第。

そうか、もう2年も経つのか。書店員さんに感謝すると同時に、あれから新しい本を一冊もつくりだせないでいる自分のふがいなさに内心忸怩たる思いを抱いたのだった。

恩師

同じ日、恩師のA先生から連絡が。


「調子はいかがですか」
「なんにもできません」
「ほうそうですか」
「はい」
「お目にかかりたく」
「馳せ参じます」

というわけで(大意)、先生のお宅ちかくでお茶。「あなたの今後についてわたしもいろいろと考えてみたのですが」と先生。先生がこんな、ある意味では恩着せがましい発言をなさるとは……こんなことはいままでついぞなかった。そして、この袋小路から脱出するための具体的な提案をふたつほど頂戴した(んだけど、その内容については恥ずかしいので記さないでおく)。あの奥ゆかしい先生にそこまで言わせてしまった自分のふがいなさに、あたらめて内心忸怩たる思いを抱いたのだった。

魔窟探検

知っている人は知っていることだけど(ほとんどの人は知らないし興味もないと思うけど)、ぼくは2006年あたりからこのかた、まともに仕事ができないでいる。その間、相棒(id:yakumoizuru)をはじめとして、たくさんの人に迷惑をかけてきた。迷惑どころか、損失・損害を与えたとすら言ってよいかもしれない。

数年前からぼくの仕事部屋は本とゴミと酒壜に満ち満ちた魔窟となり、仕事に使うパソコンにすら心理的・身体的・物理的にアクセスできない状態がつづいていた。安息の地とするべく設計した自分の部屋なのに、おそろしくて入ることができないのである。

(しかたがない?ので、ホームサーバを中心とした無線LAN環境を構築し、リビングルームの食卓に置いたノートパソコンでメールチェックを行っていた。というか、そんな手間をかけるヒマがあれば部屋の掃除くらいできそうなものなんだけど……ほとんどビョーキ、というかふつうにビョーキである。)

床が見えたその魔窟に捜査のメスが入ったのは今年の7月。ほんとうにありがたいことに、相棒友人知人が集まり、丸一日をかけて魔窟探検と悪霊退治をしてくれた。ぼくなんかよりずっと忙しい(そして時給も高い)人びとが汗だくになってくれたおかげで、なんとか仕事ができる環境が整った。床のフローリングも数年ぶりに拝むことができた。たいへんにありがたいことだ。自分はなんて幸せ者なんだろうとつくづく思ったんだけど、整ったのは環境だけで、じつはいまだ同じようなダメ生活を送っている。直後にハードディスクがクラッシュしたのは痛かったが、でもあの大掃除の労力にくらべたら、そんなこと言い訳にすらならない。どんだけ忘恩? 当然ながら、やっぱり自分が変わらなきゃいけない。さらにあたらめて内心忸怩たる思いを抱いているのだった。

つまり...

こんな風にぼくを支え、助けてくれている慈愛に満ちた人びとに報いる唯一の方法は、感謝の意を表すことではなく(お世話になりすぎてきた分だけ、そんなものこれまで表しすぎるくらい表してきた)、ぼくがぼくの仕事をぼくなりのやりかたで実行することだろうと思う。当たり前のことだけど。

これからまたがんばる。

追伸

たったこれだけの記事(というか最近思うこと的日記)を書くのに数日間かかってしまった。どんだけ(ry


問題がモンダイなのだ (ちくまプリマー新書)

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