「アダージョ ト短調」で雲消霧散
メルマガ原稿。
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とりあえず「アダージョ ト短調」(アルビノーニのアダージョ/弦楽合奏とオルガンのためのアダージョ)でも聴いて落ち着こう。
演奏は「指揮者のいないオーケストラ」として知られるオルフェウス室内管弦楽団。ほかにヘンデル「水上の音楽」や大バッハ「主よ、人の望みの喜びよ」などが収められている。お得な一枚。
- Orpheus Chamber Orchestra, Baroque Concert, Deutsche Grammophon, 1990
イタリアの音楽学者レモ・ジャゾット(Remo Giazotto/1910-1998)は、ベネツィアの作曲家トマゾ・アルビノーニ(Tomaso Albinoni/1671-1750)の伝記を書くためにドレスデンの図書館で調べものをしていた。そんなある日、彼はアルビノーニによるトリオ・ソナタの断片を発見する。ジャゾットはその忘れ去られていた断片に大胆な編曲をほどこし、そしてこの曲ができあがったというわけ(……との噂。本当にアルビノーニ原作なのか真偽は定かではないとする者もあるし、端的に「偽作に等しい」(©廣松渉・改)とする者もある)。
しかし、なにはともあれ、わたしはこの曲を気に入っている。ちょっとロマンティックに仕上がりすぎという意見もあるが――実際そのとおりだと思うのだが――まぁそんなことはわたしにとってはどうでもいい。
この曲を知ったのは、もちろん(なのかどうかは知らないが)、フランツ・カフカ原作/オーソン・ウェルズ監督の映画『審判』(1963)においてであった。そういや主演はアンソニー・パーキンスだったなぁ。
- 『審判』オーソン・ウェルズ監督、アンソニー・パーキンス主演、フランス/イタリア/西ドイツ、1963
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しかしこの曲……聴いているうちに、このまま雲消霧散してしまいたくなった...
◇オルフェウス室内管弦楽団 - ミュージックプラントによるアーティスト情報
追記
原稿、結局朝9時までかかってしまった...(ヨーゼフ・Kさんごめんなさい)