読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

哲劇メモ

吉川浩満(@哲学の劇場)の日々の泡

新論考☆子午線

詩と批評の雑誌『子午線 原理・形態・批評』にエッセイを寄稿しました。

  • 吉川浩満「フロイト革命の帰趨──合理性のマトリックスとロボットの叛逆」、『子午線』Vol.4、書肆子午線、2016/1

http://shoshi-shigosen.co.jp/books/shigosen4/shoshi-shigosen.co.jp

『子午線 原理・形態・批評』は、昨年2015年に春日洋一郎氏が立ち上げた「書肆 子午線」という出版社が刊行する詩と批評の雑誌。第3号までは同人誌として刊行されましたが、この第4号からいよいよ書肆子午線からのリリースとなりました。今号も稲川方人氏へのインタヴューなど充実の内容ですが、既刊分でも金井美恵子氏、小泉義之氏、絓秀実氏、花咲政之輔氏、松本潤一郎氏など、濃ゆ〜い顔ぶれが並んでいます。

拙稿を冒頭だけちょこっと引用。

はじめに──フロイトの二段階革命

本稿は、人間の思考、なかんずくその合理性と主体性をめぐって進行している知識革命にかんする中間報告である。

ジークムント・フロイトはかって、人類は科学によって三度自尊心を傷つけられた、と語った。コペルニクスの天文学によって地球が宇宙の主人の座から転落し、ダーウィンの進化論によって人間が生物の主人の座から転落し、私の精神分析学によって自我が人間の主人の座から転落したのだ、と。

彼は自分が着手したプロジェクトが人類全体の自尊心にかかわる知識革命をもたらすことを見抜いた点で正しかった。ただ誤算もあった。それは、彼自身の学説がこの革命を最後まで生き延びられなかったことだ。その後、赤の他人というべき新勢力がこのプロジェクトを引き継ぐ結果となった。

その新勢力とは、人間のヒューリスティクスとバイアスにかんする実験心理学的な諸研究である。当のフロイト学説を疑似科学の地位に追いやった実証主義的な潮流に棹さす勢力だ。

人間の思考の大部分は「ヒューリスティクス」にもとづいているといわれる。ヒューリスティクスとは、問題解決に際して時間労力をかけずにおおよその解を得る手続きを指す。経験や習慣にもとづいた直観的判断などがこれに当たる。それにたいして、一定の手順に従うことで必ず正解を得る手続きをアルゴリズムと呼ぶ。コンピュータ・プログラムがその典型である。ヒューリスティクスは省資源で素早くおおまかな解をもたらすが、一定の偏りを含むことが多い。この偏りが「バイアス」であり、人間の思考に系統的な誤りを呼びこむ。一九七○年代以降、このヒューリスティクスとバイアスの研究によって、人間の思考にかんして注目すべき知見が着々と積み上げられてきた。

研究の当事者たちはフロイトの継承なんて冗談じゃないと考えるかもしれない。だが、ヒューリスティクスとバイアスにかんする研究が実証してきたのは、人間が種々の誤り、勘違い、自己欺肺を避けられない性向をもつという事実である。要するに人間の思考は人間本性によって裏切られるということであり、これこそフロイト革命の大義にほかならない。人類の自尊心にかかわる自己知の変動は依然として進行中なのである。

この知識革命の現状について簡単な見取図を描くことが本稿の目的である。

続きは現物の『子午線 』で! 上記リンクから通信販売で注文できます。また、下記の書店でも購入可能です(2016年2月5日現在)。

【北海道】
MARUZEN&ジュンク堂書店札幌店

【東北】
あゆみBOOKS仙台青葉通り店

【関東】
紀伊國屋書店 新宿本店
ジュンク堂書店 池袋本店
ジュンク堂吉祥寺店
リブロ渋谷店
東京堂書店(神保町)
三省堂書店 神保町本店
往来堂(千駄木)
BOOKS隆文堂(西国分寺)
タロー書房(日本橋)
Title(荻窪)
青山ブックセンター本店
青山ブックセンター六本木店
あゆみBOOKS早稲田店
オリオン書房ノルテ店(立川)
オリオン書房パピルス店(立川)
オリオン書房ルミネ店(立川)
PAPER WALL nonowa国立店
ブックスルーエ(吉祥寺)
サニーボーイブックス(目黒)
模索舎(新宿)
タコシェ(中野)
水中書店(三鷹)
丸善ラゾーナ川崎店

【中部】
ジュンク堂新潟店
戸田書店静岡本店
ちくさ正文館

【近畿】
ジュンク堂書店滋賀草津店
喜久屋書店北神戸店
ジュンク堂大阪本店
MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店
ジュンク堂京都店
蔦屋京都岡崎店
ふたばマルイ京都店
大垣書店烏丸三条店
メディアショップ

【中国】
喜久屋書店倉敷店

【九州】
ソリッドアンドリキッド福岡天神
長崎書店
長崎次郎書店

アマゾンなどオンライン書店に情報が掲載されたら、またあらためてお知らせします。

『子午線 原理・形態・批評』
http://shoshi-shigosen.co.jp/books/cat/magazine/