無神論月間(*)
- (*)神無月(出雲を除く)。
犬の鼻が冷たい季節がやってきた。
あせっても動けなかった。もう花も顔を近づけなくては見えなくなっていた。いきなり、つめたい濡れたものが頬にくっついた。ぎょっとすると犬の鼻だった。犬はすわっていて私にからだの重みを押しつけてよこし、やたらと涙を舐めた。犬とはちょうど同じすわり背だった。たがいにもたれ合っていると心からかわいかった。そこへすわって縺れた。(幸田文『みそっかす』岩波文庫、p.104)
- 作者: 幸田文
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1983/09/16
- メディア: 文庫
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さ、原稿原稿っと。
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