哲劇メモ

吉川浩満(@哲学の劇場)の日々の泡

無神論月間(*)


  • (*)神無月(出雲を除く)。

犬の鼻が冷たい季節がやってきた。


あせっても動けなかった。もう花も顔を近づけなくては見えなくなっていた。いきなり、つめたい濡れたものが頬にくっついた。ぎょっとすると犬の鼻だった。犬はすわっていて私にからだの重みを押しつけてよこし、やたらと涙を舐めた。犬とはちょうど同じすわり背だった。たがいにもたれ合っていると心からかわいかった。そこへすわって縺れた。(幸田文『みそっかす』岩波文庫、p.104)

みそっかす (岩波文庫 緑 104-1)

みそっかす (岩波文庫 緑 104-1)

さ、原稿原稿っと。

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