哲劇メモ

吉川浩満(@哲学の劇場)の日々の泡

哲学形式としてのエセー

魂の美と幸い―哲学形式としてのエセー

魂の美と幸い―哲学形式としてのエセー

修行のためのお手本として。

エセーは堅固な体系性とは無縁であるし、しらみつぶしに論拠をあげて論証しようとはしない。総じてあまり説得しようともしない。ただ目くばせし、手をさしのべ、ゆっくりと歩を進めるだけである。もともとの名あて人が亡くなった今となっても、やはり同じように露深き叢園をゆっくりと歩みながら、いまもその人がすぐそばにいるかのように、私はつぶやくだろう。ほら、あそこにはおみなえし、ここにはなでしこの花……。(iv)