マと散歩
マがこの世でいちばん好きなものは散歩である(ようにお見受けする)。
ごはんを食べるよりも(マは食が細い)、なでられるよりも(うるさがって行ってしまうこともある)、とにかくなによりも散歩である(としか思えない)。
散歩に出かける準備をはじめると、ものすごい勢い(*1)で階段を駆け降りてきて、玄関で狂ったように踊りだす。かと思えば、ときおり思い出したように、ビシッと決まったオスワリをする。そしてまたふたたび踊りだす。感情のたかぶりによって、自分でもなにがなんだかわからなくなっている(*2)にちがいない。準備にてまどっていると、こらえきれなくなってキャンと鳴く(ふだんはめったに鳴いたり吠えたりしない)。
これからあの散歩がはじまるのだという歓喜と、しかしいまだ散歩ははじまらないのだという焦燥が、マに極度の熱狂と興奮(*3)をもたらす(のだろう)。
- (*1)id:contractio:20040610#1086877153
- (*2)©浅井健一
- (*3)©真島昌利