哲劇メモ

吉川浩満(@哲学の劇場)の日々の泡

マと散歩

マがこの世でいちばん好きなものは散歩である(ようにお見受けする)。

ごはんを食べるよりも(マは食が細い)、なでられるよりも(うるさがって行ってしまうこともある)、とにかくなによりも散歩である(としか思えない)。

散歩に出かける準備をはじめると、ものすごい勢い(*1)で階段を駆け降りてきて、玄関で狂ったように踊りだす。かと思えば、ときおり思い出したように、ビシッと決まったオスワリをする。そしてまたふたたび踊りだす。感情のたかぶりによって、自分でもなにがなんだかわからなくなっている(*2)にちがいない。準備にてまどっていると、こらえきれなくなってキャンと鳴く(ふだんはめったに鳴いたり吠えたりしない)。

これからあの散歩がはじまるのだという歓喜と、しかしいまだ散歩ははじまらないのだという焦燥が、マに極度の熱狂と興奮(*3)をもたらす(のだろう)。