哲劇メモ

吉川浩満(@哲学の劇場)の日々の泡

有山達也さん=講談社出版文化賞

id:yakumoizuru:20040524#p1より引用
今日は、講談社出版文化賞授賞式。『心脳問題』(朝日出版社)の装幀をてがけてくださった有山達也さん(アリヤマデザインストア)が、日比野克彦『100の指令』(朝日出版社、2003/08、amazon.co.jp)でブックデザイン賞を受賞された。

同書には「洗濯物がいつ乾くのか、時々洗濯物を触ってみよう。」とか「ご飯のお米は「種」なんだと思いながら食べてみよう。」だなんて指令が載っている。ときどき適当な箇所をひらいて与えられた指令を実行すると、日常の行動が存外決まったパターンの組み合わせで構成されていて、そこからはみ出すことはあまりないんだなァ、という感慨を得ることができる。

ジャガーさんのように常日頃から脱規範化していて一瞬いっしゅんなすことすべてこれ創造みたいな人には当然の世界であるやもしませんが :-)

今回受賞となった同書の装幀は、洗いざらしのシャツのような風合いで、そこはかとない懐かしさを喚起させるもの。有山さんの仕事には、雑誌『an an』の増刊号として昨年の九月に創刊された雑誌『ku:nel』のアート・ディレクション(なので同誌を手にとると隅々まで有山調を堪能できます)や、最近ではスタジオジブリが復刊させた堀田善衞の『路上の人』『時代と人間』『聖者の行進』(徳間書店、2004/02)などがある。

それで今日は編集者のAさんから、有山さんの三次会パーティにお誘いをいただいていたのだったが、こんな日にかぎって身体がいうことをきかない不甲斐ないワタクシ。 orz  予定どおり参加する相棒(id:clinamen)をウラヤミつつ『100の指令』のページを繰るのでした。

というわけで、二次会の途中から三次会まで、お邪魔してきたのであった。

180人も集まったといわれる盛大な二次会では、受賞作『100の指令』著者の日比野克彦さんにもごあいさつできた。センシブルかつチャーミングな人。緊張したが楽しい時間だった。

池尻大橋ちかくの喫茶店で夜通し行われた三次会も大盛況。『心脳問題――「脳の世紀」を生き抜く』のイラストを描いてくださったワタナベケンイチさんと店長さんによるガクガクブルブル((;゜Д゜))ガクブルガクの漫才コンビ「ラインダンス」の破壊的ショートコント、有山さん自身がヴォーカルを務めるバンド「長嶋ジャパン」によるオリジナル曲演奏、そしてスタッフや友人たちからの祝福の言葉。限りなくおバカ(*)で暖かくて優しい、まことに稀有な空間であった。これも人徳か。

「哲劇叢書」(勝手に名付けるのだが)の第1弾である『心脳問題――「脳の世紀」を生き抜く』が、Aさんはじめ編集の方々の導きのもとに、アリヤマデザインストアによる卓抜なブックデザインをほどこされて世に出るというこの僥倖、神即自然に感謝せねばなるまい(別の言葉で簡単にいいなおせば、「ありえないくらい運がいいなあ。バチがあたらないだろうかガクガクブルブル((;゜Д゜))ガクブルガク」)。

アリヤマデザインストアの今後の活躍にも要注目ですよ。

  • (*)よい意味で。