哲劇メモ

吉川浩満(@哲学の劇場)の日々の泡

リテラに登場

話題の硬派ネットメディア「リテラ」が、拙著『理不尽な進化』(朝日出版社)を紹介してくれました。ありがとうございます。

結局、自己啓発系ビジネス書が語る「適応」や「進化」は、自らの願望を社会や自然に押しつけているだけではないか。というか、これって「成功」という餌をちらつかせて、本来どうにもできないことをどうにかできると言いくるめる詐欺なんじゃないだろうか。
 本書から学問的な用語を引いてくれば、それは「生存バイアス」と「公正世界仮説」という認知バイアスを利用したトリックだ。こうした詐欺に乗る「意識の高い」読者は、嬉々として成功者の自慢話を聞き、それによって自己を啓発した気になる。だけど、本物の進化論が教える真実(99.9パーセントが絶滅すること、しかも運が悪くて絶滅すること)を前にしたら、自己啓発系ビジネス書の号令は、なんと虚しく響くことか……。
 そんなことなら、むしろ失敗者・落伍者の累々たる屍からなにかを学ぶ謙虚さを身につけることから始めるべきだと思うのだが、どうだろうか。

昨年夏、突如として我々の前に現れたニュースサイト、リテラ。ほかの媒体と一線を画すユニークな記事満載で私も愛読しています。サイト開設当初、いちど記事を寄稿させていただいたこともあったのでした。