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哲劇メモ

吉川浩満(@哲学の劇場)の日々の泡

武村政春さん(北海道新聞)

さすがにもう新たな新聞書評は来ないかなあと思っていたら……1月25日、なんと北海道新聞の独自記事で書評が掲載されました! しかも評者は東京理科大学の生物学者・武村政春さんで、なんというか、二重にうれしいニュースです。


著者は「一般の読書人に向けたエッセイ」だと言うが、専門家こそ読むべき書であると主張するかのごとく緻密な論考を展開する。その流麗さは、論争に敗北し、(それが原因ではないが)61歳という若さで帰天したグールドもまた、理不尽な思いをその心の内に秘めていたに違いないという思いに、思わず駆られるほどだ。(…)

生物たちは、自らの絶滅を「理不尽だ」などと思ったりはしない。だからこそ本書を読むと、僕たちが常日頃味わっている理不尽さなど、桁違いに小さいことに気付かされるのである。

読んでいて思わずホロリとするような、たいへんありがたい書評です。ありがとうございました。

東京理科大学准教授の武村氏は、教育研究(生物教育)と基礎研究(DNAポリメラーゼ)を通じて、新しい生物教育教材を開発したり生物・生命科学の教員を育成したりという非常にユニークな研究開発活動をなさっています。でも、それだけではありません。教育研究と基礎研究が氏の第一、第二のドメインだとすれば、氏には(私の知るかぎり)第三のドメインとして「妖怪論」、第四のドメインとして「複製論」というものがあります(最後の複製論が氏の全仕事の背骨になっているように思います)。一読者として私は氏のウイルスにかんする啓蒙書のほか、妖怪論と複製論からも多くを教えられました。『新しいウイルス入門』(講談社ブルーバックス)、『空想妖怪読本』(メディアファクトリー)、『ろくろ首の首はなぜ伸びるのか──遊ぶ生物学への招待』(新潮新書)、『レプリカ──文化と進化の複製博物館』(工作舎)、『世界は複製でできている──共通性から生まれる多様性』(技術評論社)等々、ぜひ読んでみてください。いま調べてみたら、氏の教科書はまだ読んだことがないことがわかったので、『ベーシック生物学』(裳華房)を取り寄せてみようと思います。

ベーシック生物学

ベーシック生物学

理不尽な進化: 遺伝子と運のあいだ

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