哲劇メモ

吉川浩満(@哲学の劇場)の日々の泡

文庫がアツい


最近、書店をうろついていて感じるのは「文庫がアツい!」ということ。「アツい」というのは、「厚い」とか「熱い」とか「暑い」とかいうほどの意味。とくに岩波文庫ちくま文庫ちくま学芸文庫の勢いというか気合いがすごい。

先月と今月に刊行された分だけをとっても、岩波文庫からは、ディケンズ『アメリカ紀行』、ビュトール『心変わり』、レヴィナス『全体性と無限』、クローデル『繻子の靴』、トクヴィル『アメリカのデモクラシー』、ディドロ『ディドロ 絵画について』、ブラウニング『対訳 ブラウニング詩集』、等々。

ちくま文庫ちくま学芸文庫からは、南條竹則編『イギリス恐怖小説傑作選』、バタイユ『ランスの大聖堂』、大澤真幸『恋愛の不可能性について』(*)、加藤典洋敗戦後論』、ヒルベルト幾何学基礎論』、佐々木力『数学史入門――微分積分学の成立』、サイード『ペンと剣』、ディラック一般相対性理論』、レヴィナス『実存から実存者へ』、サン=テグジュペリ星の王子さま』、等々。

新書のほうは以前にもまして薄味になってる気がする。ときどきすごいのが出てくるけど、あとはほとんど「出張の新幹線で読み切る」どころか「通勤の山手線で読み切る」感じ。それでいいと思うんだけど。

  • (*)今回文庫化された大澤真幸『恋愛の不可能性について』に寄せられた永井均の解説はおもしろい(見開き2頁)。

岩波書店
http://www.iwanami.co.jp/

◇筑摩書房
http://www.chikumashobo.co.jp/


繻子の靴 (上) (岩波文庫)

繻子の靴 (上) (岩波文庫)

全体性と無限 (上) (岩波文庫)

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幾何学基礎論 (ちくま学芸文庫)

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数学史入門―微分積分学の成立 (ちくま学芸文庫)

数学史入門―微分積分学の成立 (ちくま学芸文庫)

ペンと剣 (ちくま学芸文庫)

ペンと剣 (ちくま学芸文庫)

  • 作者: エドワード・W.サイード,デーヴィッドバーサミアン,Edward W. Said,David Barsamian,中野真紀子
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2005/12
  • メディア: 文庫
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敗戦後論 (ちくま文庫)

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