読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

哲劇メモ

吉川浩満(@哲学の劇場)の日々の泡

ABC@六本木

哲学 文学 新刊


元同僚(現友人)と六本木で昼飯。そのときに立ち寄った青山ブックセンターで購入した新刊3冊。

バートルビー―偶然性について [附]ハーマン・メルヴィル『バートルビー』

バートルビー―偶然性について [附]ハーマン・メルヴィル『バートルビー』

以前、拙ブログでも紹介したが(http://d.hatena.ne.jp/clinamen/20050608/p1)、ついに刊行。帰りの電車の席で、まずは(アガンベン氏には失礼ながら)付録として収録されたメルヴィルバートルビー」に目を通す。こなれていて読みやすく、いい訳文だと感じた。「翻訳者あとがき」を見ると、「問題の定式「しないほうがいいのですが」をはじめとする少なくない箇所について納得のいく(原文に可能なかぎり忠実で、議論のための引用に堪える)既訳が存在しないと判断されたため、新たに日本語訳を試みることにした」(pp.204-205)とある。なるほど。英断である。このようなかたちで作品と評論が一体になった本(しかも本書の場合のように一貫した編集方針のもとに一体になった本)がもっと出てほしいものだ。

  • 野矢茂樹『他者の声 実在の声』産業図書、2005

他者の声 実在の声

他者の声 実在の声

野矢氏が1994年から2004年のあいだにさまざまな場所で発表してきた論文、エッセイを一冊にまとめたもの。ありがたい企画である。初出一覧を見ると、企業PR誌や学会誌といった入手しにくい媒体に掲載されたものも含まれている。それと、『事典 哲学の木』に収録された「意図」「考える」「パースペクティブ」が合体されて「哲学噺三題」となっているのもおもしろい。それぞれの文章には、もちろん加筆・修正もほどこされている。ちなみに、産業図書の故・江面竹彦社長は本書を――同社からかつて刊行された大森荘蔵『流れとよどみ』にちなんで――『よどみと流れ』と呼んでいたそうだ。そうなればよかったのに、とわたしも思う。

縮図・インコ道理教

縮図・インコ道理教

大西巨人/巨人館」で連載されていた作品がついに書籍化。ウェブで連載中(PDFファイルで提供)は「あとでゆっくりまとめて拝読しよう」と思っていたのだが、連載も終わり、そしてついに単行本にもなってしまった(「しまった」などと思わず表現してしまったが、これはもちろん、慶賀すべき事態である)。拝読します。ちなみに、帯文には「日本文学スーパー・ヘヴィ級の巨匠が挑む、この国、最大のアポリア」とある。さらにちなみに、格闘技における階級名としての「スーパー・ヘヴィ級」はキックボクシングやパンクラスなどにたしかに存在する。格闘技の階級として多くの人が思い浮かべるであろうプロボクシングでは、現在「へヴィ級」が最上位である。そこで、次のようにボクシングでも「スーパー・ヘヴィ級」の創設を熱望する声(@Yahoo!掲示板)もある。以上、たんなる豆知識。