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哲劇メモ

吉川浩満(@哲学の劇場)の日々の泡

Donna Donna

音楽 文学


翻訳とブックガイド。

 *-*

久しぶりにジョーン・バエズを聴く。1960年リリースのデビュー盤。「ドナドナ」も収録。

Joan Baez 1

Joan Baez 1

ちなみに、わたくしが所持しているのは下記のジャケット。かっこいい。

Vol. 1

Vol. 1

「ドナドナ」といえば、ある朝(たしか1996年ごろだったと思う)、出勤前にラジオ(たしかJ-WAVEだったと思う)をつけてみたところ、いままで聞いたことのない異国語の「ドナドナ」が流れてきた。イディッシュ語だったのだろうか。とにかく、ものすごいインパクトだった。ぜひふたたび聴いてみたいのだが、結局あのとき聴いたヴァージョンにはまだ再会できていない...

滅ぼされたユダヤの民の歌

滅ぼされたユダヤの民の歌

「ドナドナ」の作者という説もあるユダヤ系詩人、イツハク・カツェネルソン(1886-1944)は、この長編詩をフランスのヴィッテル収容所で書き上げた。その詩稿は3本の壜に詰められ、収容所の地中に埋められた。そしてヴィッテル収容所の解放後、地中から救い出されることになる。文字どおりの投壜通信である。作者のカツェネルソン本人は、解放に先立つ1944年5月にアウシュヴィッツで殺されてしまう。

本書の訳者のひとり細見和之氏は、「訳者あとがき」にてカツェネルソンと「ドナドナ」との出会いをこう語っている。

元来、細見がカツェネルソンの名前を最初に知ったのは、あの懐かしい「ドナドナ」(仔牛の歌)の作者としてだった。細見の所持しているイディッシュ・リートのレコードに「ドナドナ」のイディッシュ語バージョンが収められていて、そのライナー・ノートでカツェネルソンが作者とされていたのである。ただし、これには異説もあって、べつのユダヤ人を「ドナドナ」の作者とする説が有力なようだ。ともあれ、細見にとっては、カツェネルソンは「ドナドナ」の記憶、すなわちあの歌がたんなる「哀れな仔牛」の歌ではなく、ユダヤ人へのポグロムを歌ったユダヤ人の歌にほかならないことを知った驚き――あるいはそんなことを考えもしなかった自分への驚き――と結びついている。勉強会でまず『滅ぼされたユダヤの民の歌』を読みたいと細見が願ったのは、なによりそれによっている(この「ドナドナ」についてはさらに、細見和之アドルノ講談社、の「プロローグ」を参照いただければ幸いである)。(同書、pp.152-153)

アドルノ―非同一性の哲学 (現代思想の冒険者たち)

アドルノ―非同一性の哲学 (現代思想の冒険者たち)

イディッシュ文化―東欧ユダヤ人のこころの遺産

イディッシュ文化―東欧ユダヤ人のこころの遺産

Joan Baez - 公式サイト。(記事執筆時不通)
http://www.joanbaez.com/

ジョーン・バエズ - listen.co.jp内。
http://www.listen.co.jp/artdetail.xtp?artpg=rc&artistid=15556

◇世界の民謡・童謡 WORLDFOLKSONG.COM > ドナドナ研究室
http://www.worldfolksong.com/closeup/