哲劇メモ

吉川浩満(@哲学の劇場)の日々の泡

ありがとう友よ、さらば滝沢

 ※東京ローカルな話題で恐縮です。

談話室滝沢、全店閉店

3月末日をもって、ぼくたちの「談話室滝沢」が閉店する。

談話室滝沢とは、世界の談話界を支える至高の喫茶店いや談話室のこと(*1)。新宿、お茶の水、池袋に店舗を構える。2ちゃんねるにスレが立ち、mixiにコミュニティができるくらいのカリスマ喫茶だ。

今年の正月明けのこと、哲劇2005キックオフミーティングのため滝沢に繰り出した。

さあ、これから談話だ談話だ!(*2)

と意気込んでいると、店長氏がやってきて、わたくしにこう耳打ちした。

常連様にはあらかじめお知らせさせていただいているのですが、わたくしども、3月末をもちまして全店閉店させていただくことになりました。(大意)

寝耳に水とはこのことである(ちゃんと起きていたが。たしかに寝起きだったとはいえ)。その瞬間、目の前は真っ暗になり、慣れ親しんでいた世界がガラガラと音を立てて崩れ落ちる感覚を味わった(*3)。(ちなみに、2月から閉店の告知をするとのことだったので、いままで黙っていたのである。)

思えば、滝沢ほど哲劇ミーティングに適した場所はなかった。たしかにコーヒー1杯1000円(*4)というのは高い。しかし、近くのセガフレードマクドナルドでは、元気いっぱいのヤングたちの声にわれわれヤングアダルト(違)の声はたやすくかき消されてしまう。かといって普通の(カタギの)喫茶店では、長時間の談話がなかなかしづらい(最長で10時間くらい)。結局、「ヤ○ザはいても静かでいいよね」(*5)ということで、滝沢に決まりなのである。もちろん哲劇もこの滝沢から生まれたのである。

嘆息。哲劇ミーティング、4月からいったいどこでやったらいいのか。やはり「珈琲西武」になるのか。しかし鎧のいない珈琲西武(*6)なんてただの(以下略

ここで、ミーティングなんてどちらかの家でやればいいじゃないかという向きもあるかもしれない。ごもっともである。実際、何度か拙宅でミーティングを試みたこともあった。しかし、そうは問屋が卸さなかった。毎度相棒(八雲出)持参のワインをがぶ飲みしてしまい、ミーティングどころかコミュニケーションすらままならない酩酊状態に陥ってしまうのである。わが相棒にワインを持ってこさせないということは、わが相棒の相棒(というか、つまりわたくしのことだが)にとってすら至難の業である。また、相棒宅は書物の山によりアッシャー家のごとく崩壊寸前と思われるので、わたくしの体重が最後の藁になりそうで踏み入ることができない。

というわけで、学校を出てからの10年間というもの、ぼくは滝沢ですべてを学んだのだった。

そう、滝沢がぼくの学校だった。(*7)

ありがとう、滝沢。(*8)

追記

なお、当ブログの滝沢関連記事は下記のとおり。

追記2

右は「最後の謝恩券」。