哲劇メモ

吉川浩満(@哲学の劇場)の日々の泡

今日の目次

※写真はイメージです。

タイトルや目次、索引のおもしろい本が好きだ。(だしぬけに告白(再

そうした本は中身を読む前から楽しい気分にさせてくれる。

この秋、19世紀ロシアの革命的青年に多大な影響を与えたといわれるニコライ・チェルヌィシェーフスキイの『何をなすべきか』が重版された。

  • ニコライ・チェルヌィシェーフスキイ『何をなすべきか(上・下)』金子幸彦訳、岩波文庫、1978

何をなすべきか 上 (岩波文庫 赤 637-1)

何をなすべきか 上 (岩波文庫 赤 637-1)

タイトルもいいが、目次もふるっている。

一 ばか者
二 ばかげた行為の最初の結果
三 まえおき

なんの挨拶もなしに、いきなり「ばか者」である。

そのだしぬけさといったら、JR巣鴨駅改札にて見知らぬ老婆からいきなり「かつてプリンスとして知られた男が……」と話しかけられるくらいのだしぬけさ加減である。

そしてばか者とばかげた行為のあとに「まえおき」がくるのである。

チェルヌィシェーフスキイ、イイ!
一口にしゃべれば、チェルヌィシェーフスキイイイ!(ばか

万難を排して可及的速やかに読まねばっと思わないだろうか。ロシアの青年たちも、きっとそう思って本書を手にとったにちがいない。そのなかに、ウラジーミル・イリイチ・ウリヤーノフ、つまりのちにレーニンとして知られることになるであろう一青年がいたことは、あまり知られていな……いや超有名な話である。少なくともかつては有名な話であったと思う。

ちなみに、上記「まえおき」につづく章立ては下記のとおり。

第一章 両親の家でのヴェーラ・パーヴロヴナの生活
第二章 最初の恋愛と正式の結婚
第三章 結婚生活と二度目の恋愛
第四章 二度目の結婚
第五章 新しい登場人物たちと結末
第六章 舞台装置の変化