哲劇メモ

吉川浩満(@哲学の劇場)の日々の泡

ロマン


この十数年間ぼくは自分のなかの「ロマンチック(©The Blue Hearts)なもの」を殺すことに専念してきたといっていいくらいなのだが――そしてそれはほとんど成果を挙げていない、つまり無駄骨ばかり折ってきたというわけなのだが――、ロマンを語ることはかならずしもロマンティックなのではなく、むしろ、ロマンを語るまいとして、またロマンを語らぬことができると信じて、抜け出せない葛藤に陥ること、これこそまさにロマンティックな振る舞いにちがいない、という簡単な事実に思いあたった今日このごろ。