哲劇メモ

吉川浩満(@哲学の劇場)の日々の泡

随想

福原愛 vs ミャオ・ミャオ

(事前注意:オチはありません)テレビでアテネ・オリンピック卓球女子シングルス2回戦を観る(*1)。 日本の福原愛選手(15歳)とオーストラリアのミャオ・ミャオ(*2)選手(23歳)の対戦。福原氏は「愛ちゃん」の愛称で親しまれる天才卓球少女で、これが…

書かれたこと(/書かれなかったこと)

良質な解説書というのは読んでいて気分がいい。アレアレという間に、ものすごい勢いでかしこくなったようなつもり(=錯覚)になれるから。 でも、そうした書物を閉じたときにいつも浮かぶのは、「ではどうして(解説の対象となった)「原典」はあのように書…

マと散歩

マがこの世でいちばん好きなものは散歩である(ようにお見受けする)。ごはんを食べるよりも(マは食が細い)、なでられるよりも(うるさがって行ってしまうこともある)、とにかくなによりも散歩である(としか思えない)。散歩に出かける準備をはじめると…

猿橋ツーリング(FLH)

ひさしぶりに早起きをし、見事に雪辱を遂げた(昨日15時起床)。ガレージのシャッターを開けると強い日差しがマシンを照らす。いい天気。ついでだから2台とも簡単な整備をしてやろうと思い立つ。今日はFLHで出かけるのだが、まずはローライダー(FXDL)から…

たばこ、ばか、こんびに

午前1時。今日は早めに休もう、明日は早起きしようと思う。そして最後の一服を……あれ、たばこがない!(うわー補充するの忘れてた。最後の一服なのに)こうなると意地でも最後の一服をしたくなるのが人情というもの(素直に寝ればいいのだが)。コンビニに行…

有山達也さん=講談社出版文化賞

id:yakumoizuru:20040524#p1より引用 今日は、講談社出版文化賞授賞式。『心脳問題』(朝日出版社)の装幀をてがけてくださった有山達也さん(アリヤマデザインストア)が、日比野克彦『100の指令』(朝日出版社、2003/08、amazon.co.jp)でブックデザイン賞…

問題にたいする態度

「問題にたいする態度」とでもいうようなことをめぐって自問することがある。どんな問題でも、ある観点からしたら適切な立てられかたをしておらず、そこからしたらあっさりと相対化できる。実際、自分が採用した観点の十八番であるマジック・ワードを用いれ…

一塁送球

全国数十万の才能のない野球少年のひとりであったころ。当時は「大リーグ」のプレーをじっくりと観られる機会などめったになかったのだが、それでも大リーガーたちが天然芝のグラウンドで繰り広げるプレーは少年の脳裏に強烈な印象を残した。なかでも鮮烈な…

読書と鼻汁

インフルエンザで倒れ一週間を棒に振ってしまった。眠れないまま布団の中で唸っているのもなかなかつらい。こうしてはいられない。苦しみながらもなにか本を読もうと手にとったのが、(哲劇では)おなじみのエピクテトス『人生談義』(岩波文庫)。すると、…

フロートとNCC(Neural Correlate of Consciousness)

八雲出とのミーティングのために単車で出かけた。ミーティングと言っても実際は法螺の吹きあいや四方山話をするに過ぎないのだが、これは哲劇のもっとも重要な活動だ。道の途中で給油をしようとスタンドに立ち寄ったところ、店員から「何か漏れていますよ」…

会社はいろいろ、管理もいろいろ、訓練だっていろいろ、咲き乱れるの

複数の会社を渡り歩いてみると、(当然のことながら)管理と訓練の様態や程度もそれぞれ違っておもしろい。経験したなかで、いちばん「なっていない」会社は、こんな風だった。管理する側(経営者、管理職)は立場上、会社の業績や経済の動向などを引き合い…

走り納め(未遂)

今日は今年の走り納めをしようと早起きをした。風の冷たさが身体にこたえる季節だが、今年最後のライディングに気合いを入れ直し、Schottのライダーズ・ジャケットに身を包んだ。ガレージに眠るローライダーを外に連れ出す。朝の光に黒い車体が輝く。閑静な…

エピクテトスからマルクスへ

(政治を)ひとまず「ある範囲の人びとすべてを拘束することがらを決定すること」と定義しよう。――橋爪大三郎「政治」、『事典 哲学の木』講談社エピクテトスはストアの倫理をその極点にもたらした。また彼に至って倫理は哲学と外延を同じくすることになる。…

今年の3冊(2002年)

今年もいろんなことがあった。本も売るほどたくさん出た。というわけで、今年に出た本のベスト3を(順不同)。エリック・ホッファー自伝―構想された真実作者: エリックホッファー,Eric Hoffer,中本義彦出版社/メーカー: 作品社発売日: 2002/06メディア: 単行…

新世紀のことば――WとD、食事とセレナーデ

いわゆる哲学の本を読みはじめてからというもの(それはたった十年前のことだが)、私はずっと、一方でウィトゲンシュタイン、他方でドゥルーズという二人のアイドルを持っていた(相手をアイドルにしてしまうのは私の致命的な欠点である)。私の二人との接…

なぜ人を殺してはいけないのか?

という特集が、『文藝』(1998年夏号、河出書房新社)で組まれていることをご存じでしょうか。文芸誌なんぞを読む奇特な人が日本全国でどれだけ生息しているのか想像もつかないけれど、まあ2000人前後ってところでしょうから、ここをご覧になってくださる皆…

親愛なるアメリカ合衆国大統領様

ホワイトハウス御内親愛なるアメリカ合衆国大統領様突然お手紙を差し上げる無礼をお許しください。貴兄におかれましては、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。さて、実は小生、先日ハリソン・フォード氏主演の映画『エアフォース・ワン』を観賞する…

無題

たくさん読むこと、ゆっくり考えること。

死ぬにはいい日

「今日は、死ぬには、いい日だ!」サウスダコタの歴史に残るウーデッドニーが占領された時、こう叫ばれた。しかし、誰が最初に叫んだかは記憶されていない。オグララスー族のクレージーホースは、1876年6月25日、ジョージ・アームストロング・カスター将軍に…

びっくりさせない方法

私の祖母は、浴槽に注いだお湯を止めるのをいつも忘れてしまう。私がまだ実家で祖母と一緒に暮らしていた時分、このことは私にとって何よりも大きな悩みの種であった。水道代やガス代が惜しいわけではない。そうではなく、お湯がいっぱいにあふれていること…

僕の西暦2000年問題

唐突だが西暦2000年の年越し、それを思うと今から憂鬱でたまらない。映画『ストレインジ・デイズ』ではないが、愚か者どもが気狂いのような狂躁状態に陥り、馬鹿騒ぎをやらかすに違いない。僕には視える、芸能人・文化人の醜態を垂れ流すテレビ各局、新宿や…