哲劇メモ

吉川浩満(@哲学の劇場)の日々の泡

文学

善悪の根源

川上未映子『ヘヴン』講談社、2009 ヘヴン作者: 川上未映子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/09/02メディア: 単行本購入: 12人 クリック: 271回この商品を含むブログ (237件) を見る 帯の「善悪の根源」云々というキャッチコピーにつられて購入。この人…

My Unwritten Books

台風の日。我が家の鳥獣たちのかたわらで、ひさしぶりに一日じゅう家にこもり読書をして過ごした(こんな過ごしかたをしたのは本当にひさしぶり。2、3年ぶりだろうか)。 ジョージ・スタイナー『私の書かなかった本』みすず書房、2009 私の書かなかった本作…

不敬文学、『源氏物語』

恒例の「本日の朝刊」コーナー(嘘)、今日は『朝日新聞』から。 「不敬文学と呼ばれた昭和10年代――源氏物語 あちこち「削ル」」、『朝日新聞』朝刊、2006年5月31日 1939〜1941年(昭和14〜16年)に刊行された『潤一郎訳源氏物語』(「旧訳」)の成立過程。…

今村昌平氏、死去

今村昌平監督が死去 2度のカンヌ最高賞http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060530-00000231-kyodo-ent 人間の業や欲望を重厚なタッチで描き、「楢山節考」と「うなぎ」でカンヌ国際映画祭のパルムドール(最高賞)に2度輝いた映画監督の今村昌平(いまむ…

『神聖喜劇』(大西巨人×のぞゑのぶひさ×岩田和博)

のぞゑのぶひさ『神聖喜劇』第1巻、第2巻、幻冬舎、2006 神聖喜劇 (第1巻)作者: 大西巨人,のぞゑのぶひさ,岩田和博出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2006/05メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 60回この商品を含むブログ (55件) を見る神聖喜劇 (第2巻)作者…

第○回――『明六雑誌』第一號、読了

※「明治賢人研究会」は、武蔵野人文資源研究所の公式分科会です。第何回か忘れてしまった。 西村茂樹「開花の度に因て改文字を発すべきの論」、『明六雑誌』上巻、岩波文庫、1999 明六雑誌 (上) (岩波文庫)作者: 山室信一,中野目徹出版社/メーカー: 岩波書店…

今月中に読みたい3冊

最新刊というわけではないけれど、いますぐにでも読みたい(けれどもいつ読めるのかわからない)小説、戯曲が下記の3冊。 スチュアート・ダイベック『僕はマゼランと旅した』柴田元幸訳、白水社、2006 僕はマゼランと旅した作者: スチュアート・ダイベック,…

dazed and confused

目の前にアルプスがある...。長いまわり道をしなければならない/もし登りたくないなら。 There are the Alps... You will have to go a long way round / If you want to avoid them. ――Basil Bunting

デリダの追悼文集

ジャック・デリダ『そのたびごとにただ一つ、世界の終焉』土田知則ほか訳、岩波書店、2006 そのたびごとにただ一つ、世界の終焉〈1〉作者: ジャック・デリダ,土田知則,岩野卓司,國分功一郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2006/01/20メディア: 単行本購入:…

小島信夫インタヴュー&『寓話』刊行

via. 「壁の中」から http://inthewall.blogtribe.org/ 読売新聞 > 本よみうり堂> 独創世界70年 小島信夫氏創作の秘密http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20060202bk09.htm?from=os1 小島信夫氏(90)が400枚の新作「残光」を新潮2月号に発表した。70年間、…

ゆきだるマ

文久元年の冬には、江戸に一度も雪が降らなかった。冬じゅうに少しも雪を見ないというのは、殆ど前代未聞の奇蹟であるかのように、江戸の人々が不思議がって云いはやしていると、その埋め合わせというのか、あくる年の文久二年の春には、正月の元旦から大雪…

セリーヌの夜

十年ぶりに『夜の果てへの旅』を読んでみようと思い立った(*1)。前回は中公文庫の生田耕作訳だったんだけど、こんどは某特殊版元作品集の高坂和彦訳に取り組むべく、鼻息も荒くケータイメールで注文(*2)。お世話になった方々、ありがとうございました。…

第9回――明六社と『明六雑誌』

※「明治賢人研究会」は、武蔵野人文資源研究所の公式分科会です。 『明六雑誌』上巻、岩波文庫、1999 明六雑誌 (上) (岩波文庫)作者: 山室信一,中野目徹出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1999/05/17メディア: 文庫 クリック: 14回この商品を含むブログ (9件…

ほとんど記憶のない女

リディア・デイヴィス『ほとんど記憶のない女』岸本佐知子訳、白水社、2005 ほとんど記憶のない女作者: リディアデイヴィス,Lydia Davis,岸本佐知子出版社/メーカー: 白水社発売日: 2005/10メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 40回この商品を含むブログ (7…

小島信夫を再読する

ちゃんと12月号が出た。すごい。 『水声通信』特集*小島信夫を再読する、2005年12月号(no.2)、水声社 水声通信 No.2 (2005年12月号) 特集 小島信夫を再読する出版社/メーカー: 水声社発売日: 2005/11/23メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見…

第8回――内田魯庵

※「明治賢人研究会」は、武蔵野人文資源研究所の公式分科会です。 内田魯庵「下谷広小路」、『魯庵の明治』山口昌男、坪内祐三編、講談社文芸文庫、1997 魯庵の明治 (講談社文芸文庫)作者: 内田魯庵,坪内祐三出版社/メーカー: 講談社発売日: 1997/05/09メデ…

いまこそNOSAKAだ!

わが相棒の文章が雑誌『ユリイカ』に掲載されました。もう書店に並んでいます。急いで! 山本貴光「含羞の野蛮ポップ――野坂作品の二つの骨法」、『ユリイカ』特集*野坂昭如――いまこそNOSAKAだ!、2005年12月号(vol.37-no.13)、青土社http://www.seidosha.…

光あるうち光の中を歩め

マよ。【関連記事】◇哲劇メモ > [マ] - 愛犬マルティナ。雑種の黒犬よろしくhttp://d.hatena.ne.jp/clinamen/searchdiary?word=%2a%5b%a5%de%5d 光あるうち光の中を歩め (新潮文庫)作者: トルストイ,原久一郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2005/05メディア…

橋本治氏新刊

橋本さんの本、毎月出てる気がする。 橋本治『乱世を生きる――市場原理は嘘かもしれない』集英社新書、2005 乱世を生きる 市場原理は嘘かもしれない (集英社新書)作者: 橋本治出版社/メーカー: 集英社発売日: 2005/11メディア: 新書 クリック: 14回この商品を…

ドリュ・ラ・ロシェルのダイアリー

ピエール・ドリュウ・ラ・ロシェル『ドリュウ・ラ・ロシェル日記――1939-1945』有田英也訳、メタローグ、1994 ドリュウ・ラ・ロシェル―日記1939‐1945作者: ピエール・ドリュウラ・ロシェル,Pierre Drieu La Rochelle,有田英也出版社/メーカー: メタローグ発売…

第7回――内田魯庵

※「明治賢人研究会」は、武蔵野人文資源研究所の公式分科会です。 内田魯庵「下谷広小路」、『魯庵の明治』山口昌男、坪内祐三編、講談社文芸文庫、1997 魯庵の明治 (講談社文芸文庫)作者: 内田魯庵,坪内祐三出版社/メーカー: 講談社発売日: 1997/05/09メデ…

第6回――内田魯庵

※「明治賢人研究会」は、武蔵野人文資源研究所の公式分科会です。前回めでたく「銀座と築地の憶出」が終了。今回から「下谷広小路」へ突入。 内田魯庵「下谷広小路」、『魯庵の明治』山口昌男、坪内祐三編、講談社文芸文庫、1997 魯庵の明治 (講談社文芸文庫…

スタンリー・キャヴェル、邦訳刊行

スタンリー・カベル『センス・オブ・ウォールデン』齋藤直子訳、法政大学出版局、2005 センス・オブ・ウォールデン (叢書・ウニベルシタス)作者: スタンリーカベル,Stanley Cavell,齋藤直子出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 2005/10メディア: 単行本 …

〈ユダヤ人〉という存在

先月のことになりますが。 池内紀『〈ユダヤ人〉という存在 池内紀の仕事場2』みすず書房、2005 “ユダヤ人”という存在 (池内紀の仕事場 2)作者: 池内紀出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2005/09/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 1回この商品を含む…

モンテーニュ『エセー』全訳開始

先日ふるい全訳本を入手したばかりなんだけど... モンテーニュ『エセー 1』宮下志朗訳、白水社、2005 エセー〈1〉作者: Michel de Montaigne,ミシェル・ドモンテーニュ,宮下志朗出版社/メーカー: 白水社発売日: 2005/10メディア: 単行本購入: 1人 クリック: …

私の話

※ちなみに[新刊]とは新刊情報のためのカテゴリーです。 鷺沢萠『私の話』河出文庫、2005 私の話 (河出文庫)作者: 鷺沢萠出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2005/10/05メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 11回この商品を含むブログ (23件) を見る 「生ま…

さようなら杉浦日向子さん

松田哲夫「さようなら杉浦日向子さん」http://www.chikumashobo.co.jp/top/050803/index.html 松田哲夫氏による追悼文@筑摩書房ウェブサイト。今日見つけたので今日紹介。◇筑摩書房http://www.chikumashobo.co.jp/

樋口一葉の文庫版選集(全3巻)

ちくま文庫から『樋口一葉 小説集』が刊行された。 樋口一葉『樋口一葉 小説集』菅聡子編、ちくま文庫、2005 樋口一葉 小説集作者: 樋口一葉,管聡子出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2005/10/05メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (5件) を…

第4回――内田魯庵

※「明治賢人研究会」は、武蔵野人文資源研究所の公式分科会です。あいかわらず内田魯庵「銀座と築地の憶出」。今日は4ページ弱も進んだ。 内田魯庵「銀座と築地の憶出」、『魯庵の明治』山口昌男、坪内祐三編、講談社文芸文庫、1997 魯庵の明治 (講談社文芸…

マルケスとセリーヌ

今日はじめて知ったこと。電車内で、背中にデカデカと「Garcia Marques」とプリントされたジャケットを着ている人が隣に座った。話しかけやすそうな人だったので、思わず「ガルシア・マルケスっていうノーベル賞作家とは関係ないんですよね?」と尋ねてしま…