哲劇メモ

吉川浩満(@哲学の劇場)の日々の泡

メモ

on/off

off-dutyにおいて生じた「概念的混乱」(=哲学的問題)を、on-dutyの実践のもとへ着地(=解消=成仏)させてあげること。cf.ジェフ・クルター

犬の散歩という罠

散歩に連れていく? わたしの友人が「犬を散歩に連れていく」という表現をめぐってこんな風なことを書いた。……実際にはわたしたちのほうが連れられていく場合が多いのではないだろうか。犬の要求や促しに応えるかたちで。また、散歩中も犬にひっぱられっぱな…

Yからの手紙

Forwarded by Hiromitsu Yoshikawa------------------- Original Message -------------------From: Y To: Hiromitsu Yoshikawa Date: Sat, 04 Sep 2004 03:30:26 +0900Subject: (untitled)----吉川浩満様返事が遅くなり申し訳ない。御本をありがとう。あの…

トルストイとドストエフスキー

『トルストイとドストエフスキー――最初の神/最後の神』 [来るべき書物](*) 作品と生の対立/作品における生の対立 最初の神/最後の神 懐疑主義のエンジン/相対主義のエンジン 健康の病い/病いの健康 悲劇/喜劇 (*)[来るべき書物]=「こんな本が書け…

趣味論メモ――イデオロギー論

反動形成としての文化(ジジェク)そういう見方をしたとして、それでどんないいことがあるのか。

趣味論メモ――キーワード

レイベリング&アディクション(cf.東浩紀) 目的合理性→接続合理性(cf.宮台真司) 現実からの逃避→現実への逃避(cf.大澤真幸)

心の旅路3部作(*)

『かしこくなるとはどういうことか』 [来るべき書物] 『言うことと、なにも言わないこと』 [同上] 『「である」と「べき」と「かのように」』 [同上]『かしこく』では知(識)を、『言う言わない』では言葉を、『であるべきかのように』では(いわゆる)倫理…

悪態四態 #2

「○○先生すてきだわぁ」(←うっとり) よかったね。 「わたしってこうなんです」(←みて!) 知るか。 「○○ではないだろうか」(←しかつめ) それで? 「なんでわたしのようにできないの?」(←とくとく) じゃ一生やってろ。もちろんぜんぶやってる自信ある…

あれこれ

これ あれか、これか あれもこれも あれでもなく、これでもなくところで4は可能なのか?(※Yくんと車中で)

4枚のカード

キング=「最強」 クイーン=キングの婢 ジャック=〈子ども〉 ジョーカー=ゲームから降りるゲーマー

袋小路論

『袋小路論――「ある種の知的な気分」の回路基板』 [来るべき書物] (or『かしこくなるとはどういうことか――「知ること」の袋小路』) 「ある種の知的な気分」(ライル) 「ある種の知的な気分」から「哲学」へ わたしたちはみな実践的哲学者である それどこ…

ふたつの種族

『ふたつの種族――レーヴィとフランクル』 [来るべき書物] 善意の人間とそうでない人間――フランクル 溺れるものと救われるもの――レーヴィプリーモ・レーヴィとヴィクトール・フランクルによる、ふたつの「ふたつの種族」論。 すなわちある人間が収容所の看視…

問題論

『問題論――哲学的、あまりに哲学的』 [来るべき書物] 問題はそれが適切に記述(定式化)された時点で終わる(解決ではなく)。しかし解答のない問題は問題ではない。問題を定式化すること(=哲学)は、解答を与えないのであるから、いってみれば詮無いこと…

哲学/科学/芸術

ドゥルーズ=ガタリの定式化と、それにたいする疑問。 哲学は概念を創造し 科学は関数を創造し 芸術は感覚を創造するいったい「なに」が3つあるのか。人間活動のすべてなのか。「創造行為」なのか。それとも人間活動すなわち創造行為なのか。そこのところを…

ウィトゲンシュタイン

『ウィトゲンシュタイン――ビルドゥングス・ロマン』 [来るべき書物] ウィトゲンシュタインの歩みを、「ある種の知的な気分」(©ギルバート・ライル)のアンチ・ビルドゥングス・ロマンとして描く。 『論考』が「批判的に乗り越え」られて『探究』が成ったの…

非‐知としてのテクノロジー

『非‐知としてのテクノロジー』 [来るべき書物] 20世紀の科学哲学が大きな成果を残した、「自然科学の認識論的な地位の画定」には興味がなくなってしまった(もちろん、それが重要でないと考えているわけではない)。 いま考えてみたいのは、技術(テクノロ…

夏休みの宿題

◆『心脳問題』――夏休みの宿題*1 [MB]=拙著『心脳問題――「脳の世紀」を生き抜く』についてのスレです(スレじゃないが)。 ちなみに、このスレ(スレじゃ(ry)における筆者たちの願望は、読者のみなさんからいただいたコメントや筆者自身のコメントを出発点…

哲学のアスペクト

『哲学のアスペクト――ウィトゲンシュタイン/ドゥルーズ』 [来るべき書物] 潜ることと泳ぐこと。

思考実験

『思考実験――その意義と功績』 [来るべき書物] [TE]は、筆者の好きな「思考実験」(Thought Experiment/Gedankenexperiment)についてのスレです(スレじゃないが)。古今の哲学者・科学者たちが提出してきた思考実験を筆者の好みにしたがって紹介(順不同…

『心脳問題』――「ライルの方針」

contractioさん(id:contractio)から提示していただいた疑問について考えてみます。 ◇id:contractioさん([Sin-No]) http://d.hatena.ne.jp/contractio/searchdiary?word=%2a%5bSin%2dNo%5d ◇id:yakumoizuru(相棒)([MB]) http://d.hatena.ne.jp/yakumo…

ロマン

この十数年間ぼくは自分のなかの「ロマンチック(©The Blue Hearts)なもの」を殺すことに専念してきたといっていいくらいなのだが――そしてそれはほとんど成果を挙げていない、つまり無駄骨ばかり折ってきたというわけなのだが――、ロマンを語ることはかなら…

問いとやりとり

◆contractioさん(id:contractio)の問いをめぐるやりとり http://d.hatena.ne.jp/contractio/20040623#1087914524 http://d.hatena.ne.jp/yakumoizuru/20040623#p2 http://d.hatena.ne.jp/contractio/20040624#1088053279 http://d.hatena.ne.jp/yakumoizur…

悪態四態

「それで」 「よかったね」 「知るか」 「一生やってろ」それにたいして賞賛の言葉はひとつ=「すげえ」。

趣味について

『趣味について』 [来るべき書物] 趣味判断と倫理――その条件が問われる/問われない趣味判断 飯―薬―麻薬のスペクトラム――連続的だが異なる3種の享受 対象aと享楽――象徴界/想像界/現実界

たいていのこと(世人と責任)

世人はいたるところに居合わせてはいるのだが、しかしそれは、現存在が決断を迫るときには、いちはやくつねにこっそりと逃げ出してしまっているというふうに、居合わせているのである。けれども世人は、すべての判断や決断を前渡ししておくゆえ、そのときど…

17年ゼミ(続)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040517-00000020-mai-soci 17年ごとに米東部で大発生することで知られる「17年ゼミ」の羽化が本格的に始まった。6月末にかけ数十億匹が羽化するとみられており、今年の米東部はセミの鳴き声で騒々しい初夏を迎えそうだ…

山椒魚の話

この書物には虚構の人物も虚構の出来事も描かれていない。人物も場所もすべて実名で語られている。イニシアルを使った場合は、個人的な配慮によるものである。まったく名前が示されていない場合は、人間の記憶がそれらの名前を憶えておくことができなかった…

どんなことでもわかってしまう #1

「最新科学にもとづいた人間論」の意味を考えてみる。典型的なのは脳や遺伝子にかんする科学的知見を利用したもの。世の中には「車内で平然と化粧する脳」とか「ゲーム脳の恐怖」とか「浮気する遺伝子」とか「鉄人のDNA」とかいうコトバがあふれている。真に…

哲学以前

◆『哲学以前』 [来るべき書物] 問題/事情/方法 想像/思考/論証

想像と思考

このことをはっきりさせるために、私はまず第一に、想像のはたらきと純粋な悟性のはたらきとの間にある相違を検討することにする。たとえば、私が三角形を想像するとき、私はそれが三つの線によって囲まれた図形であることを理解するばかりでなく、同時にま…